時間帯はおそらく0時前後か。とにかく真夜中である。窓から伺える空は曇天であり、雨すら降っている。
この洋館には自室がある。そういう記憶が呼び覚まされたので、自室に戻ることにした。しかし、自室はどこだろう。
ノタノタとさまよっていた。すると、廊下の端の方に、白い吸盤状の物体が蠢いている。どう見ても生物、しかも動物だ。蟲っぽくもある。
恐る恐るじーっと見ていると、タコの吸盤みたいになっている物体の中央から、なにか白く細い物体が多数飛び出してきた。一斉にこちらに向かってくる!
僕はとっさに身をかわし、そのまま左手に見えている階段へ向かって走り出した。
どういうことだろう、走っていたはずが、宙に浮いている。しかもやたらスピードが出ている。バイク並の速度ではなかろうか。
とにかくあの蟲のような物体に取り付かれてはまずいので、そのまま階段を猛スピードで降りていく。曲がり角は、内側の壁に掴まって、無理やり曲がりきった。蟲どもは執拗に追いかけてくる。
長い階段を逃げつづけ、また別の廊下にたどり着く。すると、左手に自室のドアが見えた。
迷わずドアを開け、部屋に滑り込む。すぐにドアを閉め、鍵をかけた。
息が切れて、動悸がする。
---
ほっとして、目が覚める。鼓動がものすごい速かった。